「今年は過去最高の売上でした!」
そう笑顔で報告してくださった社長が、数か月後にこんなことをおっしゃいました。
「先生、口座にお金がありません…。なぜですか?」
実は、このご相談は珍しくありません。
会社は黒字なのに、お金が残っていない。
むしろ、利益が出れば出るほど資金繰りが苦しくなる会社もあります。
「売上が増えれば、お金も増える。」
そう思われがちですが、経営はそれほど単純ではありません。
今回は、売上があるのにお金が残らない理由を、税理士の視点から分かりやすくお話しします。
理由① 売上=入金ではない
まず知っていただきたいのが、
「売上」と「現金」は別物ということです。
例えば100万円の商品を販売したとしても、お客様からの入金が2か月後なら、その100万円はまだ会社の口座には入っていません。
決算書には利益が出ていても、銀行口座にはお金がない。
これは、多くの会社で起こることです。
特に売掛金が増えている会社ほど、この状態になりやすくなります。
理由② 利益が出ると税金がかかる
利益が出ることは、とても良いことです。
しかし、利益が出れば法人税や所得税、住民税、事業税などの納税も増えます。
例えば500万円の利益が出ても、その全額が自由に使えるわけではありません。
「利益が出たから車を買おう。」
「利益が出たから設備投資をしよう。」
そう考えていると、数か月後に納税の時期が来て慌てるケースがあります。
税金は「あとから」やってきます。
だからこそ、利益が出たときほど、納税資金を意識することが大切です。
理由③ 借入金の返済は利益とは関係ない
意外と見落とされるのが、借入金の返済です。
銀行から借りたお金は、毎月返済していきます。
この返済のうち、元本部分は利益の計算では経費になりません。
つまり、
利益は出ている。
でも、毎月銀行へ返済している。
だから口座のお金は減っていく。
ということが起こります。
決算書だけを見ていると、この感覚はつかみにくいものです。
理由④ 売上が増えるほど、お金が必要になることもある
「売上が伸びれば安心。」
実は、そうとも限りません。
売上が増えると、
- 商品の仕入れが増える
- 外注費が増える
- 人件費が増える
- 在庫が増える
など、先にお金が出ていくことがあります。
売上が急成長している会社ほど、資金繰りに悩むことがあるのは、このためです。
理由⑤ 「利益」ではなく「通帳残高」を見ていない
毎月売上は確認する。
利益も確認する。
でも、銀行口座の残高を経営の指標として見ていない会社は少なくありません。
私は社長に、
「利益だけではなく、現預金の残高も毎月確認しましょう。」
とお伝えしています。
会社が倒産する理由は、赤字だからではありません。
お金がなくなるからです。
利益が出ていても、支払うお金がなければ経営は続けられません。
売上よりも大切なのは「お金が残る仕組み」
経営が安定している会社には共通点があります。
それは、
「売上を増やすこと」
だけではなく、
「お金を残すこと」
を考えていることです。
例えば、
- 売掛金は早く回収できているか
- 無駄な在庫を抱えていないか
- 納税資金を確保しているか
- 毎月の資金繰りを把握しているか
こうした積み重ねが、会社の安定につながります。
税理士は「税金」だけを見る仕事ではありません
税理士というと、
「確定申告をする人」
「決算書を作る人」
というイメージを持たれることがあります。
もちろん、それも大切な仕事です。
しかし私たちは、それ以上に、
「会社にお金を残すにはどうすればいいか。」
を社長と一緒に考えることを大切にしています。
節税だけを考えて利益を減らすことが、必ずしも会社にとって良いとは限りません。
銀行融資、資金繰り、設備投資、将来の成長。
これらも含めて考えることが、本当の意味で会社を支えることだと思っています。
まとめ
売上があるのにお金が残らない理由は、一つではありません。
- 売上と入金のタイミングが違う
- 税金は後から支払う
- 借入金の返済がある
- 売上が増えると支出も増える
- 現預金の管理ができていない
こうした要因が重なることで、「黒字なのに苦しい」という状態が生まれます。
もし、
「利益は出ているのに、なぜか口座のお金が増えない。」
「毎年、納税の時期になると資金繰りが苦しくなる。」
そんなお悩みがありましたら、一度数字を整理してみませんか。
山田税理士事務所では、決算書を作るだけではなく、会社のお金の流れを一緒に確認し、資金繰りや銀行融資も見据えたご提案を行っています。
会社を長く成長させるためには、「売上」だけでなく「お金が残る仕組み」をつくることが大切です。
その第一歩として、お気軽にご相談ください。







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