経営者、投資家の為の税務

個人で不動産を売却するときの譲渡所得の基本

経費になるもの・ならないものを徹底解説!

こんにちは、山田税理士事務所 副所長の山田千比呂です。

不動産投資をしていると、「将来的に物件を売却して利益を得る」という場面が訪れることがあります。
このときに必ず関わってくるのが**「譲渡所得」**。

「売却益ってどうやって計算するの?」
「何を経費にできて、何が経費にできないの?」

そんな疑問を持つ投資家の方に向けて、今回は譲渡所得の基本と経費の範囲をわかりやすくまとめました。


1|譲渡所得の基本的な計算式

譲渡所得は次の式で計算します👇

譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格) −(取得費 + 譲渡費用)

  • 譲渡価額:売却代金(実際に受け取る金額)
  • 取得費:購入代金や購入時にかかった経費など
  • 譲渡費用:売却時に直接かかった費用

※計算後、所有期間によって長期譲渡所得(5年超)・短期譲渡所得(5年以下)に分かれ、税率が変わります。


2|経費になるもの(取得費・譲渡費用)

(1)取得費に含められるもの

  • 物件購入代金
  • 仲介手数料(購入時)
  • 登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
  • 不動産取得税
  • 建物の減価償却費(保有期間中に償却した分を控除)

👉 購入時の費用はほぼ取得費になりますが、領収書や契約書など証拠資料が必要です。


(2)譲渡費用に含められるもの

  • 売却時の仲介手数料
  • 売買契約書に貼った印紙税
  • 売却のために支払った広告費用
  • 売却に伴う測量費や解体費用

👉 ポイントは「売却に直接必要だったかどうか」。
売却のためにかかった費用は、基本的に譲渡費用に含められます。


3|経費にならないもの(注意点)

逆に、経費にできない支出もあります。

  • 固定資産税や都市計画税(これは保有時の経費で、譲渡費用ではない)
  • 管理費や修繕積立金(同上)
  • ローンの元本返済分(利息は経費になるが、元本は経費ではない)
  • 居住中にかかった光熱費や生活費

👉 よくある勘違いは「売却時にまとめて全部経費にできる」と思ってしまうこと。
保有期間中に必要経費として処理すべきもの(例:固定資産税)は、譲渡所得の経費にはできません。


4|譲渡所得と税金のポイント

  • 長期か短期かで税率が大きく変わる
     所有期間5年以下:短期譲渡 → 所得税30%+住民税9%
     所有期間5年超:長期譲渡 → 所得税15%+住民税5%
    (※復興特別所得税も加算あり)
  • 居住用財産の特例
     マイホーム(居住用)を売った場合は、最大3,000万円の特別控除が使えることがあります。
  • 赤字は損益通算できない
     事業所得などと違い、譲渡所得の赤字は他の所得と通算できません。

5|不動産投資家が知っておきたい実務上の注意点

  1. 領収書・契約書をしっかり保存すること
     取得費や譲渡費用の証拠がなければ、経費に認められないことがあります。
  2. 減価償却の扱いに注意
     建物を保有していた期間は、減価償却費を控除して計算する必要があります。
  3. 売却時期を戦略的に決める
     短期か長期かで税率が倍近く違うため、「あと数か月待てば長期になる」というケースでは売却時期をずらすのも有効です。

まとめ|譲渡所得は「経費の線引き」がカギ

  • 譲渡所得は 売却価格 −(取得費+譲渡費用) で計算
  • 経費になるのは「購入時の費用」と「売却に直接必要な費用」
  • 固定資産税や管理費など、保有中の費用は譲渡経費にはならない
  • 長期/短期で税率が大きく変わるため、売却タイミングは要注意

副所長よりひとこと

「これって経費になるの?」というご相談は非常に多く、実際に見てみると数十万円単位で計算が変わることも珍しくありません。

山田税理士事務所では、不動産投資家の方に対し、

  • 譲渡所得の試算
  • 経費の確認
  • 売却時期の税務シミュレーション

などを代表税理士が直接サポートしています。

不動産の売却を検討されている方は、ぜひ早めにご相談ください。

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