〜土地負債利子に注意して節税を考えよう〜
こんにちは、山田税理士事務所 副所長の山田千比呂です。
会社員の方が不動産投資を始めるケースが増えています。副業としての家賃収入は安定的な資産形成につながりますが、確定申告では「損益通算」という大きな節税メリットを活用できるのをご存じでしょうか?
ただし、ここで注意が必要なのが 「土地負債利子(とちふさいりし)」 の取り扱いです。
今回は、会社員の不動産投資と損益通算の基本、そして土地負債利子がどのように制限されるのかを解説します。
1|損益通算とは?
損益通算とは、ある所得区分で赤字(損失)が出た場合に、それを他の所得と相殺できる制度です。
不動産投資では、
不動産所得が赤字になった場合、給与所得と相殺できる ため、会社員にとっては税金の還付を受けられる大きなチャンスとなります。
例
- 給与所得:500万円
- 不動産所得:▲100万円(赤字)
👉 課税所得は 500−100=400万円となり、所得税・住民税が軽減されます。
2|不動産所得が赤字になる原因
特に投資初年度は、以下の理由で赤字になるケースが多いです。
- 減価償却費の計上(現金支出を伴わない大きな経費)
- ローン利息の負担
- 原状回復や修繕費
この赤字を給与と相殺できることで、投資初年度の節税メリットは非常に大きくなります。
3|土地負債利子とは?
ここで問題になるのが 土地負債利子 です。
土地を購入する際に借入をした場合、その借入金の利息部分は「土地負債利子」と呼ばれます。
税法上、この土地負債利子は原則として 不動産所得の必要経費に算入できるものの、損益通算には使えない という制限があります。
なぜ制限されるのか?
土地そのものは減価償却できず、長期的に価値が残る資産です。
その取得に伴う利息まで損益通算に使えてしまうと、過度な節税が可能になってしまうため、税務上の公平性を保つために制限が設けられています。
4|土地負債利子の具体例
例えば、アパート用地を購入し、建物と土地を同時にローンで取得した場合:
- 借入金利息:100万円
- うち建物に対応する部分:60万円 → 経費OK+損益通算OK
- うち土地に対応する部分:40万円 → 経費にはなるが、損益通算NG(繰越控除扱い)
👉 つまり、土地負債利子は「経費としては認められるけど、給与所得との相殺には使えない」点が重要です。
5|会社員投資家が押さえておくべきポイント
- 初年度赤字は大きなチャンス
減価償却や修繕費を活用し、損益通算で税金還付が受けられる。 - 土地負債利子は相殺できない
ローン利息すべてが損益通算に使えるわけではないので、試算が必要。 - 建物割合を意識した投資が有利
土地より建物の割合が高い物件の方が、減価償却・利息控除の効果を享受しやすい。 - 将来の売却時にも影響する
赤字を積み重ねても、売却益(譲渡所得)は損益通算できないため、出口戦略も併せて考えることが重要。
まとめ
- 不動産投資で赤字が出れば、会社員は給与所得と損益通算でき、節税効果が大きい。
- ただし 土地負債利子は損益通算に使えない ため注意が必要。
- 建物割合が高い物件や減価償却を意識した投資が、節税の面で有利。
副所長よりひとこと
「給与と不動産投資の赤字を相殺できるって本当?」
「土地負債利子ってどう扱えばいいの?」
こうした疑問は会社員の投資家の方からよくいただきます。
実際にシミュレーションしてみると、顧問報酬以上の税金還付が受けられるケースも珍しくありません。
山田税理士事務所では、会社員投資家の方向けに
- 損益通算の試算
- 土地負債利子の影響シミュレーション
- 将来の出口戦略まで見据えた節税プラン
を代表税理士が直接ご提案しています。
「この物件でどれくらい還付が受けられる?」
気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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