〜売却益を最大化するために知っておきたいこと〜
こんにちは、山田税理士事務所 副所長の山田千比呂です。
不動産投資は「買うとき」だけでなく、「売るとき(出口戦略)」が非常に重要です。
売却益をどのように残すかは、税金の仕組みを理解しているかどうかで大きな差が出ます。
この記事では、不動産投資の出口戦略における「譲渡所得の仕組み」「税金の計算方法」「節税のための特例」についてわかりやすく解説します。
1|出口戦略で必ず関わる「譲渡所得」
不動産を売却して利益が出た場合、その利益は譲渡所得として課税されます。
📌 計算式
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)
- 取得費:購入代金、仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、建物の減価償却後の残額
- 譲渡費用:売却時の仲介手数料、印紙代、測量費、解体費など
この計算後、所有期間によって税率が大きく変わります。
2|短期譲渡と長期譲渡で税率が違う
✅ 短期譲渡所得(所有期間5年以下)
- 所得税 30%+住民税 9%=合計39%
✅ 長期譲渡所得(所有期間5年超)
- 所得税 15%+住民税 5%=合計20%
👉 たった1日の違いで税率がほぼ倍になるケースもあります。
売却タイミングを数か月ずらすだけで、手取りが大きく変わることもあるのです。
3|居住用財産の特例(マイホームの場合)
投資用物件には原則使えませんが、もし居住用住宅を売却した場合には大きな特例があります。
- 3,000万円特別控除:譲渡益から最大3,000万円を控除できる
- 軽減税率の特例:所有期間10年以上で6,000万円まで低税率に
- 買換え特例:一定条件で課税を繰り延べできる
👉 マイホームと投資用不動産を両方所有している方は、どちらを売るかで税金が大きく変わるため、出口戦略を立てるときに必ず検討すべきです。
4|不動産投資家が使える出口戦略の工夫
✔ タイミングを見極める
5年を超えて売却することで長期譲渡扱いになり、税率が下がります。
「あと数か月待てば長期になる」というケースでは、売却時期をずらす判断が有効です。
✔ 複数物件をまとめて売らない
売却益が一度に大きくなると課税額も増加。
複数物件を持っている場合は、売却のタイミングを分散させるのも節税の一手です。
✔ 売却前に修繕や解体を検討
古い建物を解体してから土地を売却する場合、解体費用は譲渡費用に算入可能。
また、測量や境界確定にかかる費用も譲渡費用になります。
✔ 法人化との比較
個人での譲渡は累進課税の影響を受けやすいですが、法人に組み替えてからの売却という戦略もあり得ます。ケースによって有利不利が分かれるため、事前の試算が大切です。
5|出口戦略で失敗しないために
- 領収書や契約書は必ず保管
取得費や譲渡費用として認められるには証拠が必要です。 - 減価償却の計算を正しく行う
建物の価値を過大に残してしまうと、税務調査で否認されるリスクがあります。 - 売却前に税理士へ試算を依頼
事前に売却シミュレーションを行えば、「売却益がいくら残るか」「節税策はあるか」が明確になります。
まとめ
不動産投資の出口戦略では、売却益がそのまま残るわけではなく、譲渡所得として課税される点に注意が必要です。
- 譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)
- 5年超か5年以下かで税率が倍近く違う
- マイホームには3,000万円控除などの特例あり
- 売却のタイミングや方法次第で税負担を軽減できる
副所長よりひとこと
「不動産を売ったらいくら残るのか?」は、売却を検討する投資家にとって一番気になるところです。
しかし、税金の計算を知らずに売却してしまい、思ったより手取りが少なかった…というケースも珍しくありません。
雑談ですが、一般的には都内のマンションは年数が経過してもあまり値が下がらないことが多いです。このため、若いうちは、都内の駅近のマンションを購入し、住宅ローン控除を取る。その後、売却して、3000万控除を使い、最後に利益をマイホームの頭金にするという若い方をよく拝見します。
若いうちに不動産を持つメリットとしては、時間により価値が変わらない又は価値が増加するものの恩恵を受けやすいことにあると思います。
他にも、若いうちに都内のマンションを投資用に購入し、借入の返済後老後の資金として使うという方も見られます。投資は様々な考え方ややり方があり、その出口も様々です。
山田税理士事務所では、不動産投資家の方へ、
- 売却前の税額シミュレーション
- 節税に活かせる特例の検討
- 出口戦略に応じた法人化アドバイス
を代表税理士が直接サポートしています。
「この物件を今売ったらいくら残る?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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