こんにちは、山田税理士事務所 副所長の山田千比呂です。
不動産投資において節税やキャッシュフローに直結するのが「減価償却」。
特に中古物件を購入した場合、耐用年数をどう考えるかが非常に重要です。
今回は、不動産投資を始めたばかりの方や、これから中古物件購入を検討している投資家向けに、
中古資産の耐用年数の基本と計算方法、投資戦略への影響を解説します。
1|耐用年数とは?
「耐用年数」とは、国税庁が定める「その資産を使える年数の目安」で、減価償却費を何年で経費化していくかを決める基準です。
たとえば、
- 鉄筋コンクリート造(RC造)マンション → 47年
- 木造アパート → 22年
といった形で、建物の構造ごとに耐用年数が決まっています。
新築の場合は、この法定耐用年数をそのまま使います。
しかし中古物件の場合は、購入時点で残っている耐用年数を計算し直す必要があります。
2|中古資産の耐用年数の計算方法
中古物件の場合の耐用年数は、次のルールに基づいて計算します👇
📌 計算式
中古資産の耐用年数 = (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
ただし、
- 最低耐用年数は法定耐用年数の20%(下限)
- 1年未満は切り捨て
という制限があります。
💡 具体例
RC造(耐用年数47年)のマンションを築20年で購入した場合:
- 法定耐用年数:47年
- 経過年数:20年
- 中古資産の耐用年数: (47−20)+(20×20%)=27+4=31年
つまり、この場合は 31年で償却していくことになります。
3|短縮耐用年数を狙う投資戦略
投資家の間では、あえて築年数の経過した物件を買って減価償却を短期間で進める戦略がよく用いられます。
例えば、木造アパート(法定耐用年数22年)を築20年で購入した場合:
- 法定耐用年数22年
- 経過年数20年
- 中古耐用年数: (22−20)+(20×20%)=2+4=6年
👉 この場合、わずか6年で建物価格を経費化できるため、購入直後から大きな減価償却費を計上でき、節税効果が高いのです。
ただし、減価償却が早く終わると将来的な経費が減るため、長期保有戦略とのバランスを考える必要があります。
4|減価償却と投資家にとっての実際のメリット
✅ 節税効果
減価償却費は「現金の支出を伴わない経費」です。
つまり、手元資金を減らさずに課税所得を圧縮でき、節税につながります。
✅ キャッシュフロー改善
税金が減れば、その分キャッシュフローに余裕が生まれ、再投資やローン返済の余力につながります。
✅ 初年度の赤字は給与と相殺できる
サラリーマンの方が副業で不動産投資を始め、初年度に減価償却で赤字になった場合、給与所得と損益通算が可能です。
その結果、所得税の還付を受けられるケースもあり、非常に大きなメリットとなります。
5|中古物件購入時に注意すべきポイント
- 建物と土地の区分を明確にすること
土地は減価償却できないため、購入時は価格配分を正しく行う必要があります。 - リフォーム・修繕との区別
修繕費は一括経費にできますが、資本的支出は耐用年数に応じて償却が必要です。 - 投資目的との整合性
短期で節税効果を狙うのか、長期で安定した収益を狙うのかによって、選ぶべき物件や耐用年数の考え方も変わります。
まとめ|中古資産の耐用年数を理解することが成功の鍵
- 耐用年数は「構造ごとに決められた法定年数」が基準
- 中古資産は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で計算
- 築古物件は短期償却でき、節税効果が大きい
- 初年度赤字は給与と損益通算できるため、サラリーマン投資家にもメリットあり
不動産投資で成功するためには、購入前に「どれくらいの期間で減価償却できるか」を試算しておくことが不可欠です。
山田税理士事務所では、不動産投資家の方へ、
- 耐用年数のシミュレーション
- 確定申告のフルサポート
を行っています。
「この物件を買ったらどのくらい減価償却できるの?」と気になったら、ぜひお気軽にご相談ください。
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