不動産投資をしていると、必ずといっていいほど発生するのが 「修繕費」。
入居者の退去後の原状回復や、老朽化による修理など、避けて通れない支出ですよね。
実はこの修繕費、税務上の取り扱いをどうするかによって、その年の節税効果が大きく変わるのをご存じでしょうか?
「修繕費として一括で経費にできるのか」
「資本的支出として減価償却しなければならないのか」
判断を誤ると、税務調査で否認されてしまうリスクもあります。
この記事では、不動産投資家が知っておくべき 修繕費の考え方・経費化のルール・注意点 をわかりやすく解説します。
不動産投資家の修繕費の取り扱い
1|修繕費と資本的支出の違い
✅ 修繕費(経費にできる)
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建物や設備を元の状態に戻すための支出
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使用可能な状態を維持するための通常の修理・交換
👉 発生した年に 全額必要経費 として計上できます。
例:
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壊れた給湯器の交換
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壁紙クロスの貼り替え
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屋根や外壁の塗装(大規模でない場合)
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エアコンの修理
✅ 資本的支出(減価償却)
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建物や設備の価値を高めたり、耐用年数を延ばすための支出
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新規設備の導入やグレードアップにあたる支出
👉 購入した資産と同じように 耐用年数に基づいて減価償却 で経費化します。
例:
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耐久性を高める屋根の葺き替え
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古い和式トイレを洋式に全面改修
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空室対策で高額なシステムキッチンを新設
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建物全体の大規模リノベーション
2|判断のポイント(国税庁基準)
国税庁の実務上は以下の基準がよく使われます👇
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60万円未満 or 建物価額の10%以下 の修繕 → 修繕費として扱えることが多い
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3年以内に反復して行う修理 → 修繕費
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耐用年数を延ばす/資産価値を高める工事 → 資本的支出
3|修繕費の計上タイミングと節税効果
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修繕費なら 支出した年に全額経費化可能 → 大きな節税効果
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資本的支出なら 減価償却で数年に分けて経費化 → 毎年少しずつ節税
👉 例えば、クロスの貼り替えや原状回復工事を「修繕費」で処理できれば、空室が出た年の赤字を大きく作れる=給与所得と損益通算できるケースもあります。
4|税務調査で否認されないために
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領収書・見積書をしっかり保存
工事内容が「修繕」か「改良」か明確にできる資料が必要です。 -
見積書に「修繕工事」と明記してもらう
あいまいな表現は避け、修繕費としての性質を強調。 -
金額基準に注意
高額(60万円超など)の場合、資本的支出と判断されやすい。
まとめ
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修繕費:原状回復・維持のため → その年に全額経費
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資本的支出:価値向上・寿命延長 → 減価償却で処理
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判断基準は金額・工事内容・頻度
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税務調査で否認されないよう、証拠資料の保存が重要
副所長よりひとこと
修繕費か資本的支出かの判断は、節税効果に直結します。
特に築古物件を購入した投資家の方は、初年度の大規模修繕で赤字を作り、給与と損益通算する戦略がよく使われます。
ただし、判断を誤ると否認リスクがあるため、専門家に見てもらうのが安心です。
山田税理士事務所では、不動産投資家向けに修繕費の仕訳や申告のサポートを行っています。
「この工事は修繕費でいいの?」と迷ったときは、ぜひLINEやZoomでご相談ください。
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